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神戸市漕艇連盟の歴史

●設立年月白  昭和28年(1953)4月

●加盟年月日  昭和28年(1953)4月

 

[神戸ボート界の夜明け]

 神戸の海に初めて競漕用ボートが浮かんだのは、明治3年(1870)である。

神戸に居留するスコットランド人A,C,シムらによって設立されたKR&AC(神戸リガッタ・アンド・アスレチック・クラブ)主催のレースが、居留地の浜「東の船溜り」で行われたのが最初とされる。

 居留外国人の社文とスポーツの場として利用されたKR&ACは、明治13年(1880)小野浜、明治34年(1901)敏馬棟、昭和15年(1940)深江浜へとボートハウスを移転し、第二次世界大戦を迎えた。

その間、外国人のスポーツ活動に刺激されたことと、「海国日本」の思想に基づいて海洋スポーツが振興していたことにより、ボートが学校体育の―環に取り上げられた。敏馬浜のKR&AC艇庫に隣接して各学校の艇庫が建設され、学校、実業団、新聞社主催の大会が次々に開かれ大盛況だった。

明治30年代には、すでに神戸高商,御影師範(現神戸大学)、関西学院、県立神戸中学(現神戸高枚)、県立神戸商業、神戸製鋼所、川崎造船所(現川崎重工業)などの主催によるボートレースの記録が残されている。

一方、須磨の海浜でも楽水会というクラブが活躍していた。昭和初期には根岸正選手(東大卒,ベルリンオリンピック代表、のちに日本漕艇協会理事長)を擁して関西選手権大会、神宮大会などで好成績を収めていた。

第二次世界大戦終戦後、昭和22年(1947)になって、各学校のボート活動も徐々に復活。戦災を免れた楽水会艇庫を中心に練習が再開された。

 

[主な記録]

昭和22年(1947) 国鉄鷹取工機部、策2回国民体育大会フィックス優勝。

神戸大学復活、西日本大学予科大会フォア優勝。

昭和24年(1949) 関西学院大学、関西選手権フォア優勝。

神戸高枚復活。

須磨沖で市民レガッタ開催。

昭和25年(1950) 神戸高校、全日本選手権女子ナックルフォア優勝。

昭和26年(1951) 神戸高校、第6回国民体育大会男子ナックルフォアに県代表として出場。

昭和27年(1952) 神戸高校、第7回国民体育大会男子ナックルフオアに県代表として出場。

 

[当時の話題と出来事]

戦後の混乱期にありながら神戸市内のボートクラブが復活して注目を集めていた頃、須磨海岸に新しく誕生した2つのボートクラブがある。

その発端は、「舵」というボート、ヨット関係の月刊誌に掲載された小さな図面をもとに、市立神戸工業高校造船科の生徒が生産実習として製作したナックルフォア艇だった。

これは昭和30年(1955)、当時としては大変めずらしいこととして新聞に大きく掲載され、進水式の様子がラジオを通じて全国に放送されたりもした。たまたまそれを耳にした関西学院OBの藤江清―(元カヌー協会理事長)が漕艇のイロハを指導することになる。これにより、市立神戸工業高校にボート部が誕生した。

 2年後の昭和32年(1957)、兵庫県で国民体育大会が開催された。相生湾で行われた漕艇競技で、相生産業高校がナックルフォアで全国優勝するなど、ボート関係者を大いに沸かせたものである。

そのとき使用した艇の払い下げにより、須磨高校に漕艇部が創設された。これが神戸での本格的な活動開始といえる。

県内の高校漕艇部が互いに技を競っていたさなか、痛恨事も起こった。淡路島への遠漕練習の帰路、須磨高校の艇が明石海峡で遭難。昭和36年(1961)4月、報を受けた関係者は連日、広範囲にわたって捜索したが、4人の部員が帰らぬ人となった。35年を経た今、あらためて心より哀悼の意を表すものである。 
 (注:本文章は平成7年に書かれたもので、この事故は41年前になります。)

 

[体育協会への加盟の経緯]

競技人口の少ない特殊なスポーツと見られがちなボート競技が、全国各地で大々的に開催され、漕艇場も整備されるにしたがい、神戸在住のボート関係者から「さらにボート競技の普及を図るべき」との要望が出てきた。その経緯で、―般の神戸市民を対象とした本格的な神戸市民レガッタが須磨海浜国民宿舎前で開かれた。コースの設置、審判艇の配置など須磨漁業組合の協力得て、独自で開催。これが、高校・社会人のナックルフォア艇ほかオワンボートの回舵レースなど、―般市民や子どもたちの参加するボート競技大会の始まりである。

 

[歴代会長]

昭和28年4月〜44年3月  真野 恒太郎(兵庫県漕艇協会会長)

昭和44年4月〜51年3月  田畑 春三郎(兵庫県漕艇協会会長)

昭和51年4月〜52年3月  志賀 英明(神戸市立須磨高等学校校長)

昭和52年4月〜55年3月  足立 巳(神戸市立須磨高等学校校長)

昭和55年4月〜57年3月  足立 梅雄(神戸市立須磨高等学校校長)

昭和57年4月〜62年3月  小久保 富男(神戸市立須磨高等学校校長)

昭和62年4月〜平成4年3月 長谷川 隼彦(神戸市立須磨高等学校校長)

平成4年4月〜7年3月    前田 昌良(神戸市立須磨高等学校校長)

平成7年3月〜11年3月   中野 武(神戸市立須磨高等学校校長)

平成11年4月〜13年3月  中井 靖久(神戸市立須磨高等学校校長)
平成13年4月〜平成23年5月 中村 勇司(兵庫県ボート協会副会長)
 
 
平成23年4月〜現在      帽田 八郎(甲艇会会長)

 

[歴代理事長]

昭和44年4月〜51年3月       定松 増治(神戸市立神戸工業高等学校教諭)

昭和51年(1976)4月〜平成18(2006)年10月  上野健治郎(神戸市立神戸工業高等学校教諭)

平成18年10月〜現在         堀上 統央(                     )

 

[活動]

昭和44年(1969)から市体育協会の加盟団体として、毎年春と秋に漕艇競技大会を主催している。

そのほかにも、市民ボート教室やエルゴメーター記録会を開いたり、平成5年(1993)から神戸まつり協賛の垂水区の「海上イベント」を塩屋浜で共催するなど、ボート競技の普及に向けた活動を続けている。

 

[連盟主催による主な事業](年度行事)

昭和44年 須磨沖 市民レガッタ秋期(11/18)

49年 須磨沖 市民レガッタ秋期(11/16)

50年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/11)

51年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/23)

須磨沖 ボート教室 (9/4)  

52年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/15)

須磨沖 市民レガッタ秋期(9/11)

53年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/14)

須磨浜 市民レガッタ秋期(9/17)

54年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/14)

須磨沖 市民レガッタ秋期(10/14)

55年 須磨沖 市民レガッタ春期(5/18)

須磨沖 市民レガッタ秋期(10/12)

56年 須磨浜 市民レガッタ春期(5/17)

須磨浜 市民レガッタ秋期(10/18)

57年 須磨浜 市民レガッタ秋期(10/17)

58年 須磨浜 市民レガッタ春期(5/15)

須磨浜 市民レガッタ秋期(10/30)

59年 須磨浜 市民レガッタ春期(5/20)

60年 芦屋浜 市民レガッタ夏期(8/4)

61年 須磨浜 市民レガッタ春期(6/1)

須磨浜 市民レガッタ秋期(10/19)

62年 須磨浜 市民レガッタ春期(5/31)

須磨浜 市民レガッタ秋期(10/25)

63年 須磨浜 市民レガッタ春期(5/29)

須磨浜 市民レガッタ秋期(10/30)

平成元年 神工高 市民レガッタ秋期(10/10)

    2年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(9/23)

神工高市民エルゴ大会(3/1・27)

   3年 芦屋浜 市民レガッタ秋期810/27)

神工高 市民エルゴ大会(4/2・16)

   4年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(11/1)
   
   5年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(10/31)

神工高 市民エルゴ大会(6/2・20)

塩屋浜 塩屋レガッタ共催(8/21)
 
   6年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(10/30)

   7年 神戸高 神戸地区エルゴ記録会(10/28)

神戸高 市民エルゴ大会(8/2・24)

神工高 漕艇における安全講習会(8/2・24)

   8年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(11/10)

神戸高 市民エルゴ大会(9/2・8)

塩屋浜 塩屋レガッタ共催(8/1・9)

芦屋浜 市民レガッタ秋期(11/9)

         神戸高 市民エルゴ大会(2/11)

         塩屋浜 塩屋レガッタ共催(7/20)

10年 芦屋浜 市民レガッタ秋期(11/8)

神戸高 市民エルゴ大会(2/7)

塩屋浜 塩屋レガッタ共催(7/20)

11年 加古川  市民レガッタ秋期(10/
         神戸高 市民エルゴ大会(2/6)

   12年 加古川 市民レガッタ秋期(11/12)

   13年 神戸港 市民エルゴ大会(3/

        魚崎 ボートコース・クラブハウス安全祈願祭(8/12)

        加古川  市民レガッタ秋期(11/11)

   14年 魚崎 ボートハウス 市民エルゴ大会(3/31)  

        加古川  市民レガッタ秋季(10/20)

   15年  魚崎 ボートハウス 市民エルゴ大会(2/23)

        魚崎 ボートコース 市民レガッタ大会(11/9、17、23、30) 

   16年  魚崎 ボートハウス 市民エルゴ大会(2/15)


        兵庫運河コース  市民レガッタ大会(11/23)

 

[連盟発足以後の加盟団体とクルー名]

(大学)

神戸商船大,神戸学院大・神戸大学・甲南大学・関西学院大学

(高校)

県立神戸高校,市立須磨高校、市立神戸工業高校,県立相生産業高校

(社会人)

日本コンテナターミナル、日本郵船・日本運輸、神戸市役所、鴨漕艇クラブ・甲艇会・KR&AC・―ノ谷漕艇クラブ,八馬汽船・大阪商船三井船舶,三菱倉庫・三菱神戸造船所・東灘警察署・スカンダッチ・県機動隊・住友倉庫・塩屋ボートクラブ・上組・ユニエックスRC・東洋情報システム・神戸ROWING・須磨高OB会・三菱高砂レガッタ同好会・積水ハウス

 

[現況と今後の活動の抱負]

市体育協会に加入して約40数年を経過したが、残念ながら常に活動に困難な状況を強いられている。これは神戸市の海岸には公的な艇庫や競技コースがないこと、また須磨海岸レジャーボートやヨット、夏は遊泳者に水面を専有されることがその理由である。現在はやむを得ず芦屋浜の県立海洋体育館や加古川の漕艇場を使用しているが、市内に適当な練習場がないことは、ボート競技やその普及に大きな支障となっている。

ボート愛好者として、神戸市内に公的なボート施設の設置を働きかけると同時に、この優美な海岸で市民がもっとボート競技に親しめるよう、連盟としての果たすべき役割は大きいと自覚している。

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