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A型エルゴメータ ディスプレイ部表示カケ不具合 修理手順
'02年3月31日のエルゴ大会を準備する中で、各高校ボート部所有のエルゴメータを全て魚崎ボートハウスに集め、動作状態の確認を行った。
C型エルゴメータが、ディスプレイの電源部接触不良(乾電池の液漏れによる緑青発生)であるのに対し、A型エルゴメータは、ディスプレイ部LCD表示カケが発生しているものが大半であった。

A型エルゴメータは、完動品であってもE−rowシステムと接続・使用することは出来ないが、工夫すれば立派に練習機器として復活・活躍できるのではないかと、ディスプレイ部LCD表示カケ不具合の原因解析と対策を試みた。
部 位  修 理 手 順
A型エルゴメータ ディスプレイ 3段に分かれたセグメント液晶表示の内、上段と下段に文字のカケが発生している。
左の写真は、下段が文字カケ(正常は、『2』と表示する)発生している事例。 

【推定原因】
  液晶ユニットと内部制御基板部の接触不良(温度・湿度・経時変化による)
ディスプレイ裏面 ディスプレイ部裏面に十字穴ネジ(樹脂タッピンネジ:5本)がある。
これらをプラスドライバーで緩め、前後のケースを分解する。
分解時、ボタン電池は外しておくこと。
(左の写真は、エルゴメータに取り付けている樹脂ホルダを取り外した状態。)
ケース開放 ネジを5本外すと、裏面ケースが開く。
右側面は、「バッテリー挿入時の取扱い」ラベルで貼り付けられているので、そのままの状態で開く。
(制御基板が見える。なッな、なんとNECのドライバーICを使っている。基板設計は、米国内製のようですね。)
基板ASSY 制御基板を前ケースと固定している十字穴ネジ(樹脂タッピンネジ:5本)を外し、前ケースから取り出す。
液晶ユニット(ガラス)は、ゼブラゴム(導電性ゴム)を介して、ネジで前ケースと基板で圧接されて導通している。
液晶部を引っ張れば、基板から取り外すことができる。
液晶部品 液晶部のみ取り外した状態。(裏面:銀色の反射板あり)
ゼブラゴムは、上下に1本づつあり。(肌色の部品)
ゼブラゴムと接している液晶ガラス面には透明電極(ITO膜)がパターン化され、導通を取っている。
ケース内部 前ケース側には導電性シートスイッチ(シリコンゴム製)で制御基板上の金メッキパターンと接点構造を持っている。
【推定原因】
構造面から見て、10年程経ったA型エルゴメータは、温度と湿度により液晶ユニットとゼブラゴム・シートスイッチ・内部制御基板金メッキ端子部に酸化皮膜が生成されたことにより接触不良に至り、現象として文字カケが発生したと推測する。

【対処方法】
・各接触面に生成された酸化皮膜を除去する。
 @ 無水アルコールを綿棒に付け、ゴム接点部・金メッキ端子部(基板パターン)を撫でて酸化物を取り除く。
    特に、液晶透明電極部は、強く擦るとパターン断線するため、軽く撫でること。
 A 清掃が済み、アルコール分が揮発したのを確認して、上記逆手順にて組み立てる。
 B 基板を固定している十字穴ネジを確実に締め込むこと。 ここが緩んでいると、接触部分に対する圧接力が
    不足し、適切な導通が得られない。
 C 以上により文字カケが解消しない場合は、再度分解・清掃を繰り返す。

【注意】
・基板上の電子部品は、人体から発生する静電気で破壊するため、作業環境には注意すること。
 万が一、破壊しても当Webは何ら保障しない。



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